薬・感染症の歴史

薬・感染症の歴史

冷蔵庫がポリオを倒した——コールドチェーンと感染症撲滅の隠れた立役者

1955年、ジョナス・ソークのポリオワクチンが承認された。世界中が歓喜した。小児麻痺(ポリオ)は毎年数万人の子供たちを麻痺させていた恐怖の感染症だ。しかし世界中の子供たちに接種するためには、もう一つの問題があった。ワクチンは熱に弱く、常温...
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染料工場が感染症を倒した——アニリン染料からサルファ剤への100年の連鎖

1932年、ドイツのバイエル社の研究室で、ある研究者が赤い染料をマウスに注射した。マウスは連鎖球菌の致死量で感染させられており、本来なら数日で死ぬはずだった。しかし赤い染料を投与されたマウスたちは——生き残った。 これは偶然ではなか...
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戦場が輸血医学を作った——第一次世界大戦と血液銀行の誕生

1914年、ヨーロッパで戦争が始まった。 機関銃・砲撃・毒ガスが支配する塹壕戦は、それまでの戦争とは桁違いの大量出血傷者を生み出した。四肢を吹き飛ばされ、腹部を貫通された兵士たちは、傷口を縫合できても出血性ショックで次々と死んでいっ...
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結核患者の日光浴が光線療法を生んだ——サナトリウムと紫外線医療の意外な連鎖

19世紀のヨーロッパで、結核は「白死(White Death)」と呼ばれた。 ゆっくりと体を蝕み、頬を紅潮させ、詩的な美しさすら帯びながら人を死に至らせた。その結核に対抗するため、医師たちは患者を山岳地帯や海岸に建てた療養施設——サ...
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コカインが歯科を救った——コカの葉と局所麻酔誕生の意外な歴史

「コカイン」と聞けば、現代人は麻薬を連想する。 しかし1884年まで、コカインは「奇跡の薬」として医師たちが競い合って研究した物質だった。そしてその年に起きた一つの「偶然の発見」が、歯科・眼科・外科における局所麻酔という全く新しい分...
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ビールと地図でコレラを止めた男——ジョン・スノウと疫学の誕生

1854年のロンドン、ソーホー地区。 10日間で500人以上が死んだ。路地に病人が倒れ、住民は逃げ出し、街は恐慌状態に陥った。原因はコレラ——数時間で人を脱水死させる感染症だ。 この惨状に、一人の医師が静かに地図を広げた。ジョ...
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毒ガスが抗がん剤になった──マスタードガスと化学療法誕生の皮肉な歴史

「最大の殺傷兵器」と「命を救う薬」が、同じ分子から生まれた。 1917年、ベルギーのイープル近郊の塹壕で、ドイツ軍が新型化学兵器を初めて使用した。マスタードガス(イペリット)——皮膚・目・肺・粘膜を焼き、数週間かけて被害者を死に追い...
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洋服を染める工場が抗生物質を生んだ──アニリン色素と「魔法の弾丸」の意外な親戚関係

1856年、18歳のイギリス人学生が実験に失敗した。 彼の名はウィリアム・パーキン。当時の最重要課題だったマラリア特効薬キニーネを人工合成しようとして、代わりに出てきたのは黒いドロドロの物質だった。がっかりしながらフラスコを洗おうと...
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