薬・感染症の歴史

柳の皮が心臓を救った——アスピリン誕生と3500年の痛み止めの歴史

古代エジプトの柳の葉から始まり、1897年のバイエル社による合成、そして「なぜ効くか」の解明まで72年。その解明が頭痛薬を心臓発作の予防薬に変えた。年間1,000億錠が消費される白い錠剤の3,500年の旅。
薬・感染症の歴史

92日間で糖尿病を倒した犬たち——バンティングとベスト、インスリン発見の物語

1921年夏、研究実績ゼロの外科医と22歳の大学院生が、借り物の実験室と10頭の犬でインスリンを発見した。翌年1月、骨と皮の14歳の糖尿病少年が注射後に歩き出した。92日間の実験が「死の宣告」を覆すまでの物語。
薬・感染症の歴史

病気を診ずして病人を診よ——高木兼寛と脚気、そして東京慈恵医科大学の誕生

宮崎出身の海軍軍医・高木兼寛は、龍驤号と筑波号の比較航海というデータで「脚気の原因は食事だ」と証明した。しかし陸軍は「細菌感染説」を信じて拒否し、日露戦争で約27,000人が脚気で死亡。高木が創設した東京慈恵医科大学に今も生きる「病気を診ずして病人を診よ」という言葉の誕生と、故郷・宮崎への医師研修という現代への連鎖を辿る。
薬・感染症の歴史

奇跡の薬が「沈黙の春」を招いた——DDTとマラリア撲滅計画の光と影

1948年、ストックホルムのノーベル賞授賞式。スイスの化学者パウル・ヘルマン・ミュラー(Paul Hermann Müller)は、生理学・医学賞の壇上に立った。彼が発見したのは殺虫剤だった。化学者がマラリアでノーベル医学賞を受賞するという...
薬・感染症の歴史

医師の手が母親を殺していた——ゼンメルワイスと手洗い革命の悲劇

1840年代のウィーン総合病院(Allgemeines Krankenhaus)。 ここには二つの産科病棟があった。第一病棟は医学生と医師が担当し、第二病棟は助産師が担当していた。産婦たちは入院時にどちらの病棟に割り振られるかを知ることが...
薬・感染症の歴史

冷蔵庫がポリオを倒した——コールドチェーンと感染症撲滅の隠れた立役者

1955年、ジョナス・ソークのポリオワクチンが承認された。世界中が歓喜した。小児麻痺(ポリオ)は毎年数万人の子供たちを麻痺させていた恐怖の感染症だ。しかし世界中の子供たちに接種するためには、もう一つの問題があった。ワクチンは熱に弱く、常温...
外科・手術の歴史

麻酔は宴会の余興から生まれた——笑気ガスと近代麻酔誕生の奇妙な歴史

麻酔なしで手術を受けることを想像してほしい。皮膚を切られ、骨を鋸で引かれ、内臓に触れられる——その全てを完全に意識がある状態で。19世紀中ごろまで、手術とはそういうものだった。速い外科医が「名外科医」とされたのは、スピードこそが患者の苦痛...
薬・感染症の歴史

染料工場が感染症を倒した——アニリン染料からサルファ剤への100年の連鎖

1932年、ドイツのバイエル社の研究室で、ある研究者が赤い染料をマウスに注射した。マウスは連鎖球菌の致死量で感染させられており、本来なら数日で死ぬはずだった。しかし赤い染料を投与されたマウスたちは——生き残った。 これは偶然ではなか...
薬・感染症の歴史

戦場が輸血医学を作った——第一次世界大戦と血液銀行の誕生

1914年、ヨーロッパで戦争が始まった。 機関銃・砲撃・毒ガスが支配する塹壕戦は、それまでの戦争とは桁違いの大量出血傷者を生み出した。四肢を吹き飛ばされ、腹部を貫通された兵士たちは、傷口を縫合できても出血性ショックで次々と死んでいっ...
薬・感染症の歴史

結核患者の日光浴が光線療法を生んだ——サナトリウムと紫外線医療の意外な連鎖

19世紀のヨーロッパで、結核は「白死(White Death)」と呼ばれた。 ゆっくりと体を蝕み、頬を紅潮させ、詩的な美しさすら帯びながら人を死に至らせた。その結核に対抗するため、医師たちは患者を山岳地帯や海岸に建てた療養施設——サ...
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