薬・感染症の歴史

ヤナギの皮から抽出されたアスピリン、青カビから生まれたペニシリン、染料工場が生んだサルファ剤、戦争の毒ガスが転じた抗がん剤、そして殺鼠剤から心臓を守る薬になったワルファリン——薬の歴史には「意外な出自」の物語が満ちています。同時に、ペスト・天然痘・結核・梅毒など人類を脅かしてきた感染症との攻防、ワクチンや抗生物質の登場、耐性菌との果てなき軍拡競争も扱います。各記事は学術論文と一次資料をもとにファクトチェックを行ったうえで執筆しています。

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幻の第1回ノーベル賞——北里柴三郎、日本細菌学の父が受けた栄光と不遇

新千円札の顔・北里柴三郎。破傷風菌の純粋培養と血清療法を成し遂げながら、第1回ノーベル生理学・医学賞は共同研究者ベーリング一人に贈られた。ペスト菌の命名も逃した「あと一歩」の連続と、彼が日本に遺したものをたどる。
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福沢諭吉を育て、種痘を日本に広めた町医者——緒方洪庵と適塾・除痘館

福沢諭吉、大村益次郎、橋本左内——幕末を動かした人材を育てた大坂の私塾・適塾。開いたのは一人の町医者、緒方洪庵だった。種痘を日本に根づかせ、コレラと闘い、医の倫理を説いた「幕末の名医」の仕事をたどる。
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スペインは濡れ衣だった——史上最悪のパンデミック「スペイン風邪」1918年の真実

1918年、わずか2年ほどで推定5000万人を奪ったインフルエンザ。だがこの病はスペインで生まれていない——なぜ無関係の国の名がついたのか。なぜこれほど死んだのか。現代の「マスク」と「隔離」の原点となったパンデミック。
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乳搾りの娘の言い伝えが、人類唯一の勝利を生んだ——ジェンナーと天然痘根絶

「牛痘にかかった乳搾りの娘は天然痘にかからない」——18世紀イギリス農村の言い伝えに、一人の田舎医師が着目した。致死率約3割の病に挑んだその検証が人類初のワクチンを生み、人類が根絶できた唯一の感染症へとつながる。
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ネズミを殺す毒が、心臓を守る薬になった——ワルファリン誕生の物語

1933年の吹雪の日、一人の農夫が死んだ牛と「凝固しない血液」を抱えて190km走り、大学の研究室の扉を叩いた。牛を殺していた物質の正体を追った研究が殺鼠剤を生み、やがて世界で最も処方される抗凝固薬ワルファリンになる。
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金、コルチゾン、そして分子標的薬へ——関節リウマチ治療150年の革命

1948年、車椅子生活だった29歳の女性が、注射から4日で自分の足で立ち上がった。薬の名は後の「コルチゾン」。金製剤からステロイド、メトトレキサート、そして分子標的薬へ——関節リウマチ治療150年の激動をたどる。
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血液が語る「型」——カール・ランドシュタイナーとABO血液型の発見

1900年、ウィーンの実験室で若い病理学者が、ある組み合わせの血液だけが塊になって沈むのを見つめていた。ランドシュタイナーのこの小さな観察が、「運試し」に等しかった輸血を科学に変え、20世紀医療の基盤を作った。
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自己実験で証明した医師——ヘリコバクター・ピロリ発見とノーベル賞への道

1984年、一人の医師が約10億個の細菌入りのビーフブロスを飲み干した。倫理委員会にも妻にも知らせずに。「胃に細菌は生きられない」という数十年の常識を壊した自己実験が、ノーベル賞とピロリ菌除菌治療につながるまで。
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禁酒法と医師の処方権——アルコールをめぐるアメリカ医療の特殊な歴史

1920年代のアメリカ禁酒法時代、医師は「医療用」としてウイスキーを処方できた。年間1100万枚の処方箋、6万4000人の医師、4000万ドルの収益——そして現代日本でも「ぶどう酒」は今なお医薬品として収載されている。
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壊血病と大航海——なぜヨーロッパの船乗りは死に続け、鄭和の船団は7度の遠征を達成できたのか

1497年、ヴァスコ・ダ・ガマの艦隊は170人で出港し、54〜55人で帰港した。殺したのは戦闘でも嵐でもない。同じ時代、鄭和は2万7千人の船団で7度の遠征を達成している。この差はどこから来たのか——壊血病と食事の文明史。
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