Dr.げち

医療器具・技術の歴史

静脈に薬を直接入れるという革命——注射器の発明と医療を変えた「針」の歴史

薬を体に入れる方法は、長いあいだ「口から飲む」しかなかった。1853年、フランスとスコットランドで二人の医師がほぼ同時に、独立して注射針と注射筒を発明する。それは医療を変えると同時に、薬物依存という扉も開いた。
医療器具・技術の歴史

太った女性患者の胸に耳を当てられなかった——ラエンネックと聴診器誕生の物語

1816年パリ、ラエンネックは目の前の女性患者の胸に耳を当てることをためらった。彼は紙を丸めて筒にし、一端を胸に、一端を自分の耳に当ててみる——心音が驚くほど鮮明に聴こえた。「恥ずかしさ」から生まれた聴診器の物語。
外科・手術の歴史

脳に穴を開けて生き延びた——トレパネーションと人類最古の外科手術7000年史

世界で最も多く見つかる「手術の痕跡」は、頭蓋骨に開けられた穴だ。7000〜1万年前の頭蓋骨にその穴があり、縁には骨が再生した痕がある——つまり患者は生き延びた。なぜ石器時代の人間が脳に穴を開けたのかをたどる。
外科・手術の歴史

世界初の心臓移植——クリスチャン・バーナードと現代心臓外科の夜明け

1967年12月3日、ケープタウン。死んだ人間の心臓を取り出し、別の人間の胸に縫いつける——「不可能」とされ、倫理的にも問われていた手術に、9人のチームが臨んだ。世界初の心臓移植と、現代心臓外科の夜明けをたどる。
薬・感染症の歴史

柳の皮が心臓を救った——アスピリン誕生と3500年の痛み止めの歴史

古代エジプトの柳の葉から始まり、1897年のバイエル社による合成、そして「なぜ効くか」の解明まで72年。その解明が頭痛薬を心臓発作の予防薬に変えた。年間1,000億錠が消費される白い錠剤の3,500年の旅。
薬・感染症の歴史

92日間で糖尿病を倒した犬たち——バンティングとベスト、インスリン発見の物語

1921年夏、研究実績ゼロの外科医と22歳の大学院生が、借り物の実験室と10頭の犬でインスリンを発見した。翌年1月、骨と皮の14歳の糖尿病少年が注射後に歩き出した。92日間の実験が「死の宣告」を覆すまでの物語。
栄養と疾病の歴史

病気を診ずして病人を診よ——高木兼寛と脚気、そして東京慈恵医科大学の誕生

宮崎出身の海軍軍医・高木兼寛は、龍驤号と筑波号の比較航海というデータで「脚気の原因は食事だ」と証明した。しかし陸軍は「細菌感染説」を信じて拒否し、日露戦争で約27,000人が脚気で死亡。高木が創設した東京慈恵医科大学に今も生きる「病気を診ずして病人を診よ」という言葉の誕生と、故郷・宮崎への医師研修という現代への連鎖を辿る。
薬・感染症の歴史

奇跡の薬が「沈黙の春」を招いた——DDTとマラリア撲滅計画の光と影

1948年、殺虫剤の発見者がノーベル生理学・医学賞を受けた。DDTは1940〜60年代、文字通り何百万人もの命を救ったからだ。だが1962年、レイチェル・カーソン『沈黙の春』がその神話を終わらせる。マラリア撲滅計画の光と影。
薬・感染症の歴史

ゼンメルワイスと手洗い革命——産褥熱の謎を解いた医師の発見と苦闘

1840年代ウィーン。医師が担当する第一産科病棟の死亡率は、助産師の第二病棟の4〜5倍だった。産婦たちは泣いて第一病棟を拒んだという。ゼンメルワイスが見つけた答えは単純で、そして彼は受け入れられなかった。
薬・感染症の歴史

冷蔵庫がポリオを倒した——コールドチェーンと感染症撲滅の隠れた立役者

1955年にポリオワクチンが承認されても、もう一つの問題が残っていた——ワクチンは熱に弱く、常温ではすぐ効力を失う。辺境の村まで低温のまま届ける方法を解決したのは、医学と無関係な産業だった。氷の貿易と冷蔵技術の話。
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