Dr.げち

外科・手術の歴史

「階級に関係なく、最も重傷の者から治療せよ」——ナポレオンの軍医ラレーが発明したトリアージと救急医療の原点

戦場で死ぬ兵士の多くは、弾丸ではなく「待機」が殺した。ナポレオンが「私が最も尊敬する人物」と呼んだ軍医ラレーは、階級ではなく重症度で治療順を決めた。トリアージと飛行救急車——現代救急医療の原点となった発明。
薬・感染症の歴史

アーユルヴェーダの薬草がレセルピンになった——伝統医学と現代精神薬理学の接点

インドで数千年にわたり「狂気を鎮める草」として使われてきたアーユルヴェーダの薬草サルパガンダ。1952年にその根から単離されたレセルピンは、世界初の近代的降圧薬であり、精神医学の歴史を塗り替えた薬でもあった。
医学と社会の歴史

「豚を食べるな」——コーランが1400年前に禁じた食物と、現代医学が解明した寄生虫の真実

「なぜ豚を食べないのか」。信仰の答えは「禁じられたから」だ。だが冷蔵庫も体温計もない灼熱のアラビアで豚肉を食べることは、現代人の想像以上に危険だった。寄生虫をめぐり、信仰と衛生のどちらが先だったのかを考える。
医学と社会の歴史

「脈が乱れた——恋をしている」——イブン・スィーナーが千年前に診断した心と体のつながり

衰弱する若者の脈をとりながら、イブン・スィーナーは助手に地名と人名を次々読み上げさせた。ある女性の名で脈が乱れた瞬間、彼は診断した——「恋をしているな」。千年前のイスラム医学が捉えていた、心と体のつながりの話。
医学と社会の歴史

江戸の「汚物」は宝だった——くみ取りビジネスが守った都市の清潔と、し尿農業が生んだ寄生虫の循環

下水道のない人口100万の江戸が、ロンドンやパリより清潔だったのはなぜか。答えは「汚物に経済的価値があった」という一事にある。くみ取りビジネスが支えた都市の衛生と、同じ仕組みが生んだ寄生虫の循環をたどる。
医学と社会の歴史

古代ローマ人は中世ヨーロッパ人より清潔に生きていた——失われた水道と、コレラが呼び戻した公衆衛生

最盛期のローマは100万人に1日約100万立方メートルの水を供給していた。その800年後、同じヨーロッパの都市では飲み水と同じ川に排泄物が流された。文明は前進するばかりではない——失われた水道と、公衆衛生の復活。
薬・感染症の歴史

「安全な睡眠薬」が46か国で奇形を生んだ——サリドマイドと薬事規制誕生の物語

1957年、「どれだけ大量に飲んでも死なない」と宣伝された睡眠薬が発売され、妊婦のつわり止めとしても処方された。5年後、46か国で1万人以上の子どもにアザラシ肢症が現れる。現代の薬事規制はこの悲劇から生まれた。
医学と社会の歴史

医師が生んだ名探偵——コナン・ドイルの医学キャリアとシャーロック・ホームズの誕生

1891年、ロンドンに眼科を開業したコナン・ドイルの診察室に、患者は来なかった。空いた時間で書き続けたのがシャーロック・ホームズだ。だが話はそれだけではない。恩師から学んだ観察の技が、名探偵の推理法そのものになった。
古代・奇妙な医療

ノーベル賞を受賞した「脳の手術」が禁止されるまで——ロボトミーという20世紀最大の医療過誤

1941年、23歳のローズマリー・ケネディは父の命令で手術台に乗せられた。術後、彼女は言語能力の大半を失い、生涯を施設で過ごす。ノーベル賞を受けた「脳の手術」ロボトミーが、なぜ広がり、なぜ禁止されたのかをたどる。
薬・感染症の歴史

「奇跡の薬」が生んだ怪物——フレミングのペニシリン発見と、耐性菌との果てなき軍拡競争

1928年、フレミングは休暇から戻り、カビの生えた「失敗作」のシャーレを捨てる前にもう一度覗き込んだ。カビの周囲だけ、細菌が死んでいた。奇跡の薬ペニシリンの誕生と、その危険性を最初に予言したフレミング自身の警告。
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